復活節第5主日
ヨハネ14:1-12
「心を騒がせるな。神を信じなさい。そして、私をも信じなさい。」今日のこの福音の冒頭の言葉は、まさに今の世界中の人々に向けられた言葉です。昔SFと言うのがありました。空想物語のことで宇宙戦争とか人造人間とかで、子供の頃小説や漫画で読まれた方も多いと思います。でも昔空想物語だった宇宙戦争も人造人間も現実のことになりつつあります。そのSFに透明人間の話もありました。透明人間が人類を攻撃する話しですが、今世界に蔓延している新型コロナウイルスのことを思うと、何か透明人間から人類が攻撃されているような錯覚に陥りそうです。何と言ってもウイルスは目に見えない。撃退しようにもどこにいるのか分からない。そして、しまいに「あそこに行ったら感染する」「あの人感染しているのでは?」などとお互い不信感に包まれてしまいそうです。お互いの不信感とデマ、いつの時代でもこれが悪の力の宣伝効果なのです。
「心を騒がせるな。神を信じなさい。そして、私をも信じなさい。」というイエスの言葉は今こそ新型コロナウイルスに怯える私たちに力強く響いてきます。私たちの敵であるウイルスは目に見えない。でも私たちの味方である神も、祈りの力も目に見えない。目に見えない神の力を信じることによって、この目に見えない悪の力に打ち勝ちましょう。今こそ「神を信じよ」「神の愛を信じよ」「神の導きを信じよ」という単純かつ荘厳な声が世界に響き渡っています。更に私たちは感染からから身を守ることだけではなく、この病気で苦しむ人の癒しと回復を毎日祈ることで彼らと心をひとつにしてこの悪の力を乗り越えましょう。私は医師から回復の見込みはないと診断された人が、自らの生命力を信じ、祈りの力によって回復した例を何度も見てきました。それは本人の祈りだけではなく、また周りの人の祈りの支えもあったのです。
祈りには地球の引力のような力があります。引力は目に見えないし感じられない。でも厳然として私たちを支えている。祈りの力も目に見えない。でも厳然として私たちを支え、導いている。
「祈りは神の引力なり」この言葉をしっかり心に刻みましょう。
(赤波江 豊 神父)