7月5日年間第14主日
赤波江神父の黙想のヒント

マタイ11:25-30

 「天地の主である父よ、あなたをほめたたえます。これらのことを知恵ある者や賢いものには隠して、幼子のような者にお示しになりました。」

 知恵あるや賢い者とはどんな人たちのことでしょうか。それはきっと自分には知恵があるとか、自分は賢いと思い込んでいる人たちのことではないでしょうか。そして自分は賢いと思い込んでいる人の愚かさは単純なことを複雑にしてしまうことなのですね。当時自分で賢いと思い込んでいた律法学者やファリサイ派の人たちは本来単純な神の愛を複雑な人間の掟に変えてしまいました。でも私たちもどこかそんな心の傾向を持ってやしないでしょうか。信仰と教会を複雑なものにしてしまわないように気を付けましょう。

 今から95年前に幼きイエスのテレジアが列聖されました。しかしその当時の世界はナチズム、ファシズムや全体主義などで混迷の度を増しており、教会も何とかしなければという思いで混乱していました。そのような時代に神が教会に示した証しはテレジアのような幼子のように単純に神の愛と導きに信頼する生き方で、実は当時の教会の流れに逆行するものだったのですね。今の世界は100年前の世界情勢と同じだと言われ、多くの独裁的な政治家の台頭で世界は混乱状態に陥っています。このような現代だからこそ約100年前にテレジアを通して教会に響いた声が再び聞こえてきます。「神を信じよ」「神の愛を信じよ」「神の導きを信じよ」と。皆さん、今こそ単純な信仰に生きましょう。信仰と教会を複雑なものにしてしまわないように気を付けましょう。

      (赤波江 豊 神父)

今日の福音朗読

東京大司教区年間第14主日ミサ配信2020年7月4日18時

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