マタイ16:13-20
「人々は、人の子のことを何者だといっているか」というイエスの質問に弟子たちは、「洗礼者ヨハネだと言う人もいれば、エリヤやエレミヤだと言う人もいるし、はたまた預言者の一人だと言う人もいますよ」と答えました。でも弟子たちの答えはあくまでも彼らが耳にしていた「噂」に過ぎなかったのですね。でもイエスは噂が聞きたくて尋ねたのではなかった。次にイエスは本番の質問をします。「それでは、あなた方は私を何者だと言うのか」それに対してペトロが弟子を代表して「あなたはメシア、生ける神の子です」と答えました。イエスはペトロの答えに満足して「シモン・バルヨナあなたは幸いだ」と言って及第点をくれました。
ペトロは生涯を通じてイエスから大事な質問を2回受けました。1回目は今日の質問で、2回目はイエスが復活した後3回繰り返し尋ねた「ヨハネの子シモン私を愛しているか」(ヨハネ21:15-19)でした。実はこの2つの質問は弟子としての「資格認定試験」だったのですね。イエスの弟子として認められるためにはこの2つの質問にしっかりと答えなければならない。でも試験って誰でもいやですよね。試験の前の夜不安であまり眠れなかったり、試験当日緊張のせいかそれまで覚えていたことが急に思い出せなくなったりなど、私も苦い思い出が多いですね。
ところでこのイエスの弟子としての資格認定試験問題、①「私を何者だと言うのか」つまり「イエスを救い主として信じるか」と、②「私を愛するか」つまり「イエスから生涯離れないか」。一見簡単に答えられるようで、なかなか答えられない。難しいようで実は簡単。さて皆さんにとってはどちらですか?でもこの試験には落し穴があって、実は1回限りで終わらない一生答え続けなければならない質問なのですね。ペトロ自身一生この質問に悩み続けました。でも最後は何とかクリアしました。私たちも一生この質問に答え続けなければならないと思うと少々気がめいりますね。でも私たちが質問に悩んだとき、イエスはきっと耳元で正解をささやいてくれますよ。ペトロの場合もきっとそうだったと思います。
(赤波江 豊 神父)