10月4日年間第27主日
赤波江神父の黙想のヒント

「思い煩うのはやめなさい」(フィリピ4:6)

 皆さん、思い煩っている人に対して簡単に「思い煩うのはやめなさい」って言えますか。もし言ったとしたら「人の気持ちも知らないで簡単に言わないでよ!」と反感を買いそうですね。確かに思い煩いは人生につきもので、真面目に生きたら思い煩いがなくなるのかと言うとそうではなく、真面目に生きようと思えば思うほど思い煩いが出てくるものですよね。それはきっとパウロも同じだったと思います。だから今日の手紙もそうですが、パウロの手紙がいつも心に響くのは、きっとパウロはいつも自分に言い聞かせていたのだと思うのですね。だから今日の手紙をこう読み替えましょう。

 「どんなことでも思い煩うのはやめよう。何事につけ感謝を込めて祈りと願いをささげ、求めているものを神に打ち明けよう。そうすれば、あらゆる人知を超える神の平和が、自分の心と考えとをキリスト・イエスによって守ってくれるだろう。」

 私たちの人生と信仰の成長を妨げる二つの要因は過去の後悔と未来への不安です。人間の思い煩いはこの二つから生じます。過去に大きな失敗をして悔やんでいる人がいるとします。でもその過ちによって人生の大切なことを学んだら、それはもはや失敗ではなく人生を学んだ「大切な経験」であって悔やむことではないのですね。また、未だ訪れていない未来を何か悪いことが起こるのではという不安な目で迎えるのではなく、きっといいことが起こるに違いないという希望の目で迎えましょう。だいたい悪いことを信じたら自らそれを呼び込んでしまうことになります。良いことを信じたら自らそれを呼び込みます。人は自分が信じている通りになります。呼び込むのなら良いことを呼び込みましょう。

 パウロが言う「人知を超える神の平和」によって過去の後悔を感謝に変え、将来の不安を大いなる希望へと変えていきましょう。

      (赤波江 豊 神父)

今日の福音朗読

東京大司教区年間第27主日ミサ配信2020年10月3日18時

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