11月29日待降節第1主日
赤波江神父の黙想のヒント

 「目を覚ましていなさい」(マルコ13:33-37)

 今日の福音の中でイエスは3度「目を覚ましていなさい」と言われました。ところで皆さん、「まさか」「予期せぬ」「想定外」などの言葉を聞くとどのようなことを連想されますか。恐らく、何か良くないことマイナスなことを連想される方が多いのではないかと思います。「まさかと思った事故」「友人の予期せぬ死」「想定外の災害」など。どうも私たちは物事をマイナスに捉える傾向があるようです。でも神との関係ではそうであってはなりません。「まさかと思ったお恵み」「予期せぬ人との出会い」「想定外の幸運」というふうに捉えましょう。

 ビジネスチャンスと言う言葉がありますね。社会では何か困った問題が起こると人は必ずそこにビジネスチャンスを見つけます。例えばスズメバチの大量発生、ゴミ屋敷や空き家の問題が生じるとそれを解決する会社を立ち上げて利益と雇用を生み出します。

 それなら私たちも人生の困難に直面したとき、そこに人生を生きるためのチャンスを見出しましょう。だいたい一人の人間が一生の間に経験できることはほんの僅かです。その僅かな経験の中でものごとを判断するわけで、普通自分の思い通りに事が運ぶことを成功と呼び、思わぬ方向に事が展開することを失敗と呼びます。そして計画が想定外の方向にそれてしまったら、人生思うようにならないと肩を落としたりします。でも「人生思うようにならない」という言い方は、「人生思わぬところに道がある」という意味でもあるのですね。受験の失敗、不本意な人事異動などで、自分が本来望まなかった道に進まざるを得なくなり仕方なしに他の道に進んだとき、ああこんな道もあったのだと気づいて、かえって興味や関心がわいて充実して生きている人たちが無数にいます。興味があるからやるもよし、でもやってるうちに興味がわくということも事実なのですね。従って失敗は新しい発見なのですね。この失敗の中に想定外の発見と、人生を生きるチャンスを見出すために、皆さんしっかりと目を覚ましていましょう。

      (赤波江 豊 神父)

今日の福音朗読

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