1月24日年間第3主日
赤波江神父の黙想のヒント

 年間第3主日 2021.1.24 マルコ1:14-20

 皆さんはイエスが弟子たちを招いたとき、弟子たちは何歳くらいだったと思いますか。イエスは30歳くらいで宣教活動に出たと言われています。30歳の人物が弟子を集めるとき、普通同年代あるいはそれ以上の年齢の人を弟子にはしないでしょう。15歳から20歳くらいの人を弟子にするでしょう。おそらくイエスも同じような年齢の人を弟子として集めたことでしょう。今日の福音で最初に呼ばれたシモン、後にペトロと呼ばれ弟子の頭となった彼はその時20歳くらいではなかったと思います。一番若いと思われていたヨハネはまだ14,5歳くらいの子どもではなかったかと思います。なぜ、私がこのように思うかというと、「私についてきなさい。人間をとる漁師にしよう」とイエスから言われたとき、シモンとアンデレは「すぐに網を捨てて従った。」ヤコブとヨハネも「父ゼベダイと雇人たちと一緒に船に残して、イエスの後についていった。」この福音の言葉から、彼らはきっと若い青年であったにちがいないと私は想像しています。

 彼らはイエスの魅力的な姿に感動し、どうしてもこの人について行きたいと思ったのでした。即ちすぐ行動に移す、これが青年たちの特徴です。確かにすぐ行動に移して成功する場合もありますが失敗も多い。イエスの弟子たちも何度もつまずいては失敗し、イエスから叱責されました。弟子たちの人生最大の失敗はイエスの受難の夜、皆イエスを見捨てて逃げて行ったことです。でもそのことがイエスの愛を知る大きなきっかけになりました。そのイエスの愛とは「人間が神を信じなくても、神が人間を信じ続けている」ということでした。

 青年たちも同様にこの失敗を繰り返すことによって新しい人生の価値を発見しながら成長するのです。失敗は実験であり、新しい人生の発見なのです。しかし残念ながら人間は年齢と経験を重ねるごとに慎重になりチャレンジもしなくなります。

 若い時の感動は人生の宝です。若い時の感動は場合によったらその人の一生を左右することもあります。このことは多くの年配の人たちも経験したことでしょう。感動するということは、その人の心に大きなエネルギーが湧いている証拠です。若い人たち、心に何か大きな感動を受け、どうしてもこのことをやり遂げたいと思ったらぜひそのことに没頭してください。このように若い時の感動に没頭し続けて人生を飛躍させた人は多いのです。

 若い人たち夢をもちなさい。夢をもっている人は既に幸せな人です。昔ドイツに旅行したとき飛行機で隣に座っていたある青年のことをよく覚えています。彼は目を輝かせながらこう話してくれました。「私は子どもの頃から船が好きでよく父親と神戸港に船を見に行っていました。やがて船の勉強がしたくなり神戸商船大学に進学しました。そこは全寮制で私はもともと体が小さかったのですが、体形が変わるくらい鍛えられました。大学を卒業してもっと船の研究を続けたいと思い、今からドイツのブレーメン大学に留学する予定です。私は子どもの頃の夢が実現できて幸せです。」確かに子どもの頃の夢を実現できた人は幸せです。しかし夢をもっている人は既に幸せです。この夢をもってチャレンジするということは、若い人たちだけではなく、今の時代年配の人にこそ言わなければなりません。人が老けていくのは年齢を重ねるのではなく、理想を失うことによるのです。若い人たち、若年寄にならないように、そして年配の皆さん、いつまでも万年青年でいてください。

      (赤波江 豊 神父)

今日の福音朗読

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