9月19日年間第25主日
赤波江神父の黙想のヒント

 「何が原因であなたがたの間に戦いや争いが起こるのですか。あなたがた自身の内部で争い合う欲望が、その原因ではありませんか。」(使徒ヤコブの手紙4:1)

 皆さん、今日は何だかヤコブに叱られたような感じで、少し落ち込みそうな気になりますね。悪いことは自分の心からなかなか無くならない、自分はいつまでたっても変わらないと。でもそれは悪いことから何かを学ぼうとする意志がないからなのですね。悪いことから何か大切なことを学び、そこから知恵を引き出すことができたのなら、それはもはや悪いことではなく貴重な体験となるのですね。光が遮られている状態が闇であるのと同じように、悪とは善が遮られている状態です。悪いことはつかの間の影であり、自ら作り出したもの。大切なのは悪いことを理解して、そこから人生の知恵を学ぶことです。そうすれば悪とは無知に起因する過ちに他ならないことが分かり、単に悪を忌み嫌うのではなく、むしろ罪を犯して苦悩している人に寄り添うことができるでしょう。

 こんな話があります。ある子どもが無力な動物を虐待していたとします。すると、それを見た男性が無力な動物に何をするのかと、その子どもを叩いたとします。続いてそれを見ていた別の男性が、無力な子どもに何をするのかと、その子を叩いた男性を殴ったとします。その子を含め、この3人とも悪いのは相手だと言うでしょう。このように無知と憎しみが不和をもたらすのです。

 人は憎しみや怒り自己愛にとらわれているとき、真実を見る目を失っており、いやでも不正義しか見えないのです。ですから内側で混乱した人生を送っていると、それと同じ状況を外側の見える人生の中に必ず出現させることになります。

 皆さん、決心しましょう。どんな決意ですか。それは過去の過ち、失敗、苦悩から大切なものを学ぶ決意です。決意は人間を進歩させる強力なパワーです。私たちは決意を人生の中に持ち込まない限り進歩を遂げることはできません。しかしその決意とともに歩みだす道はとても険しいものに見えるかも知れません。もしそうだったら、それは本物の道であることの証明です。最初に魅力的に見えるものは、実は幻想や誤りであることが多いのです。

      (赤波江 豊 神父)

今日の福音朗読

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