「隣人を自分のように愛しなさい」(マルコ14:31)
皆さん、赤ん坊はなぜ笑うか知っていますか。子どもはだいたい1歳2歳の頃から話し出しますが、赤ん坊は生まれて間もなく笑いだします。なぜでしょうか。それは親が笑ってあげるからなのですね。赤ん坊は一見何も分からないようでも親の顔を見ています。そうして沈黙の内に親に尋ねています。この親は本当に自分のことを愛してくれているのだろうかと。親が笑えば赤ん坊は安心して笑います。反対に親が怖い顔をすれば赤ん坊は泣きます。それでは笑顔とは何でしょうか。それは幸せのシンボルです。そうやって赤ん坊は毎日笑顔をもらい、そうして自分でも周囲に笑顔を与えながら、自分は幸せなのだ、自分がこの世に生まれてきたことはいいことなのだと理解するようになります。ですから子どもに幸せになってほしかったら家庭にいつも笑顔がなければならないのですね。「笑顔はミルク」これは私がつくった格言です!
でも笑顔でいるって時々難しいですね。笑顔を作ったつもりでも、口元だけが笑って目が冷たかったりなど。実は笑顔は作るものではなく、にじみ出るものなのですね。従って心が満たされていないと笑顔はにじみ出ない。それでは心が満たされるとはどういうことなのでしょう。ひとつのトレーニングをしてみましょう。それは常に誰かの笑顔を心に思い浮かべ続けることです。それは家族でも、友人でも、恋人でも誰でもいい。とにかく絶えず誰かの笑顔を心に思い浮かべ続けることです。途中で何か悪い顔が侵入してきたら直ちに削除してください。とにかく誰かの笑顔だけを心に思い浮かべ続けてください。そうすれば次第に心が落ち着いて何か穏やかな幸せな気持ちになり、やがて自分が心に思い浮かべている笑顔と同じ顔になっていきます。人は心にあるものを必ず表に出しますから。時間はかかるかも知れませんが、その気さえあれば必ず実行できます。そして実行出来たらそのトレーニングを一生続けてください。そうやって誰を思い出してもその人の笑顔を思い浮かべることができるようになったとき、「隣人を自分のように愛しなさい」という今日の福音を「隣人の笑顔を自分の心に納め続けなさい」という言葉で実行できるでしょう。
(赤波江 豊 神父)