12月19日待降節第4主日
赤波江神父の黙想のヒント

 「あなたは女の中で祝福された方です。胎内のお子さまも祝福されています。」(ルカ1:42)

 私たちが日ごろ唱えているアヴェ・マリアの祈りの前半は福音書からきた祈りです。「アヴェ・マリア、恵みに満ちた方、主はあなたとともにおられます。」これは大天使ガブリエルのマリアへの挨拶の言葉で、福音書では「おめでとう、恵まれた方。主があなたと共におられる。」(ルカ1:28)となっています。

 「あなたは女のうちで祝福され、ご胎内の御子イエスも祝福されています。」は今日の福音書「あなたは女の中で祝福された方です。胎内のお子さまも祝福されています。」から来ています。

 ですからアヴェ・マリアの祈りの前半はマリアに対する大天使ガブリエルの挨拶の言葉と、エリザベトの称賛の言葉からなっています。しかしアヴェ・マリアの祈りには後半部分があります。

 「神の母聖マリア、わたしたち罪びとのために、今も、死を迎える時も、お祈りください。」この言葉は中世期ころできた祈りで、作者は分かりませんがマリアに対する教会の信仰です。この中で特に「今も、死を迎える時も」という言葉が挿入されています。というのは、マリアは、聖書には記されていませんが、確かに夫ヨセフの死を看取り、福音書によると十字架の下で最愛の息子イエスの死に立ち会いました。「イエスは、母とそのそばにいる愛する弟子とを見て、母に、『婦人よ、ご覧なさい。あなたの子です。』と言われた。それから弟子に言われた。『見なさい、あなたの母です。』そのときから、この弟子はイエスの母を自分の家に引き取った。」(ヨハネ19:26~27)

 それゆえ、教会はアヴェ・マリアの祈りを通して生涯の最後を聖母マリアの保護に委ねて祈ってきました。しかしそのためには、生涯の最後の時だけではなく、普段からマリアとともにいる必要があります。「そのときから、この弟子(ヨハネ)はイエスの母を自分の家に引き取った」ように、この弟子を受け継いだ教会もイエスの母マリアを自分の家に引き取って祈ってきました。間もなく降誕祭です。わたしたちもマリアを心の家に引き取って、マリアとともに幼子イエスを迎えましょう。

      (赤波江 豊 神父)

今日の福音朗読

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