1月2日主の公現
赤波江神父の黙想のヒント

 「学者たちはその星を見て喜びにあふれた」(マタイ2:10)

 新年明けましておめでとうございます。2022年の旅が始まりました。昨年はコロナに悩まされた1年でした。今年もコロナはまだ続くのだろうかと、不安を抱えながらまたこの1年を歩んで行かなければならないのでしょうか。多くの人がこの思いの虜になっているかもしれません。

 今日は主の公現の主日です。東方の学者たちが星の導きに従って、長い旅の末に救い主を見出し、「学者たちはその星を見て喜びにあふれた」と福音書は記しています。私たちの人生そのものが長い旅です。しかし私たちの人生の旅には常に二つの障害が立ちはだかっています。それは過去の後悔と未来への不安です。人間の多くの悩みはこの二つの要因から引き起こされ、そのため思い悩んで神経をすり減らし、場合によったら病気さえ引き起こします。しかし過去は終わったし、未来はまだ来ていない。そのような過去を後悔し、未来を心配していくうちに、今日という一日が過ぎていく。確実に言えるのは、私たちが今生きているのは今日のこの一日だということです。遠くの不確実なものを見ようとするのではなく、目の前の確実なことだけに目を注ぎましょう。今日の一日を自分の一生の全てと思い、神が今日歩む道のりの足元だけを照らしてくださることだけを信じましょう。そうやって一日ごとに新しい人生を始めましょう。しなければならないことが山ほどあっても、こう自分に言い聞かせましょう。「今ひとつだけしよう」と。そうしていくうちにいつの間にか全てが片付いています。

 「全ては変化する。誰も同じ川に、二度と足を踏み入れることはできない」(古代ギリシアの哲学者ヘラクレイトス)川の流れは刻々と変化します。人生もまた絶え間なく変化します。唯一確かなものは今日という一日だけです。今日を生きる喜びを過去の後悔と未来への不安で台無しにしないよう気を付けましょう。

「見よ!この日を 人生のため、人生の本質のため。
その短い過程の中に、あなたの存在のすべての真実と現実がある。
生長の喜び 行動の誇り 美の素晴らしさ
昨日はただの夢 明日はただの幻
しかし今日を良く生きることは、すべての昨日を幸せな夢に変え、すべての明日を希望に変える。
そうだ、見よ!この日を この言葉を夜明けに捧ぐ」
(「夜明けに捧ぐ言葉」カーリダーサ・5世紀インドの劇作家)

      (赤波江 豊 神父)

今日の福音朗読

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