6月26日 年間第13主日
赤波江神父の黙想のヒント

「わたしに従いなさい」(ルカ9:59)

 今日の福音書の中で、イエスから呼びかけられる前から、熱烈に従う意思を表明する人もいれば、「わたしに従いなさい」というイエスの呼びかけに対して、条件をつけて尻込みをする人もいます。確かに、イエスの呼びかけに対して、尻込みせず、無条件に従うことは大事です。しかし、イエスのため、教会のため、人々のため頑張りたいと思う時、しばらく立ち止まって、何が「霊の導き」(ガラテヤ5:16)であるのか、自分を振り返ることも必要です。

 あるプロゴルファーが「奇跡の方程式」という言葉を残しています。それは「奇跡=才能×努力×感謝力」だというのです。彼は阪神淡路大震災で多くのものを失いました。その結果、大切なのはお金でも地位でも名誉でもなく、人の愛と優しさ、思いやりと感謝と前向きな心だということが分かりました。震災までは、どんな状況でも不屈の精神で頑張れる人が、真の勇者だと考えていたのですが、震災後は、真の勇者とは頑張れることに感謝できる人だということが分かりました。人生何がピンチで、何がチャンスかその時点では分からない。でも、どんな時でも正直に悔いなく、感謝の心を持って生きると大きなパワーが生まれて奇跡を起こしてくれる。それは誰が起こしてくれるのか。それは自分ではなく、周りの人だと言うのです。自分の力で奇跡は起きないと言うのですね。感謝の心は人を大きくし、美しく、そして強くします。いくらゴルフが強くてもプロにはなれない。強い人がプロになるのだ。そして強い人はいつも周りの人に感謝している。だからますます強くなる。いろいろなプロの人を見てそう思うと、彼は語っていました。

 彼はプロゴルファーとして話したのですが、この「感謝力」という言葉は宣教活動にも当てはまります。情熱、熱心、一途という言葉は魅力的ですが、そこには大きな落とし穴もあります。それは周りが見えなくなるということです。時々立ち止まって、今自分がしていることは本当に正しいのかと、振り返ってみる必要があります。特に自分は決して間違っていないと確信する時にこそ、振り返りは必要です。場合によったら自分中心に物事を考えていることもあり、周りの忠告も受け入れず、やがて迷走状態に陥ることがあります。そのような時何か大切なものが欠けてないでしょうか。信仰生活においても、人生においても大きな実りをもたらす大法則、それは神と周囲の人への感謝の心です。そして、それこそが「霊の導き」です。感謝は心を広げます。感謝は感謝を呼び覚まします。そして大切なことは、何か願いがかなってから感謝するのではなく、「感謝を込めて祈りと願いをささげる」(パウロのフィリピの教会への手紙4:6)ということです。感謝のあるところ、既に実りあり。宣教だけではなく、仕事でも勉強でも努力を重ねながらも、プラス「感謝力」でパワーアップしましょう。

      (赤波江 豊 神父)

今日の福音朗読

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