4月23日 復活節第3主日
黙想のヒント

「道で話しておられるとき、また聖書を説明してくださったとき、私たちの心は燃えていたではないか」(ルカ24:32)

 ゴールデンウイークも間もなく始まります。この期間行楽地や旅行に出かける人も多いでしょう。しかし、後で感想を聞かれても、料理やホテルへの不満、疲れただけなど、お金を使った割にはあまり楽しくなかったということのないようにしてください。もし、そうなるとすれば、それはその人が自分自身以外のところで人生を探そうとしているからです。しかし、自分の中にしっかりとした人生の旅手帳があれば、自然の美しさ、出会った人への感謝など、旅で経験した様々なことを自分の中に書き込み、一見マイナスなこともプラスに変え、そのことで人生を彩り豊かに生きることができるでしょう。

 エマオへの道で、一人の旅人と出会った二人の弟子は、その旅人が説明してくれた聖書の話に心が燃えていました。この「心が燃える」ことを「感動」と言います。弟子たちはその感動をすぐ他の弟子たちに伝えます。その復活したイエスとの出会いの感動が、二千年の間語り伝え続けられました。教会はこの感動の中から生まれ、今なお感動を語り続けています。

 私たちは自然、人との出会い、芸術などの中で感動を体験しますが、感動するということはその人の中に、ある種のエネルギーが湧いていることです。そのエネルギーとは、即ち神と出会っているということです。つまり感動できるということは、自分自身がまさに神の中に引き込まれていることを意味するのです。そうなると、そのことは自分自身にとどまりません。感動できる人は、他の人をも感動させることができるのです。というのは、その人の心から命が発せられているからです。感動は感動を呼び覚まします。自然の中で、また人との出会いや芸術の中でよく感動する人は、感動することそのものが習慣になっているのです。感動が習慣になれば、生活もはつらつとしたものとなり、新しいひらめきや発想にも恵まれます。しかし、感動するためには絶えず感性を磨くことが必要です。それは森羅万象に対する畏敬の念、支えてくれる人たちへの感謝の念で、これなしには感性は生まれません。そして感性がなければ霊性も生まれないのです。

 二人の弟子はエマオへの道で一人の旅人、つまりイエスと出会い、彼らの心は変えられました。私たちの人生も旅です。この旅の途上でイエスが姿を変え、私たちに感動を与えようとしています。特に若い時の感動は、その人の人生を大きく変える力をもっています。感動とはその人の心の中に大きなエネルギーが湧いている証拠です。若い人たち、皆さんが何かに大きく感動して、自分はどうしてもこれがしたいと思ったら、それに没頭するのがよいのです。恐らく家族や周囲の反対にも直面するでしょう。思うようにいかないことも多いでしょう。しかし、思うようにいかないことがあれば、かえってその新しい展望台から彩り豊かな人生を再び眺めることができるでしょう。

 若い人たち、しっかりと自分の中に人生の旅手帳をもってください。

      (寄稿 赤波江 豊 神父)

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