5月14日 復活節第6主日
黙想のヒント

「あなたがたの抱いている希望について説明を要求する人には、いつでも弁明できるように備えていなさい。」(1ペトロ3:15)

 私たちの希望の根拠は、必ず明日は訪れてくれるという確信です。どれほど嘆いても過ぎた一日は決して戻りません。しかしこの地球が誕生して以来、太陽が昇らなかった日はありません。明日は永遠に私たちを訪れてくれます。明日が訪れてくれるということの意味は、今日失敗しても明日またやり直すチャンスがある、今日の涙は明日自ら拭ってくれる、今日の傷は明日自ら癒してくれるということです。138億年前この宇宙ができて以来、宇宙は循環して誕生と死を繰り返しながら進化発展しています。人間も宇宙の一部です。それならば人間社会を始め、ものごとは必ず良くなるはずだというのが多くの偉人や聖人たちの考えでした。だから私たちはものごとを語るとき、過去形ではなく未来形で語らなければならないのです。過去形で話せば必ず愚痴や不満が生じ、新しいもの、良いものは生まれにくくなります。ものごとを未来形で話し合うことによってこそ希望は生まれます。

 この地球上においてあらゆる物体は地球に引き寄せられているだけではなく、この宇宙において全ての物体は互いに引き寄せ合っているというニュートンの万有引力の法則があります。確かに悪いもの同士も引き寄せ合いますが、それを乗り越える祈りは祈りを呼び覚まし、愛は愛を引き寄せます。同じように希望は、個人的に頑張ろうというだけではなく、誰かのために生きようと決意したとき、更に大きな力をもち、また自分の限界をも乗り越えることができるのです。また重い病気の人も、誰かのために生きようと決意することによって免疫力も高まり回復しやすいのです。希望は最大の免疫力です。このように、本当の希望は人に向き合い、人のために生きようとする熱意によってこそ生まれるものなのです。だから「希望は私たちを欺くことがありません。」(ローマの信徒への手紙5:5)

 祈りは人間が出しうる最も強力なエネルギーであって、それは地球の引力にも匹敵する現実的な力であると、かつてノーベル医学生理学賞を受賞したアレクシス・カレルは言いました。彼自身医師として、もはや手の施しようのない患者が厳粛な祈りの力によって回復した例を何度も挙げています。地球の引力は体で感じることのできないものです、しかしその引力を否定する人はほとんどいません。それならば、目に見えないエネルギーであり、神の引力である祈りの力を否定することはできないでしょう。引力がなければ人間を始めあらゆる物体は無重力状態になります。同じように神の引力である祈りがなければ、人間は心において必ず無重力状態に陥ってしまいます。

 「祈りがなかったら、私はとっくの昔に狂っていたことであろう」というマハトマ・ガンジーの言葉を忘れたくないものです。

      (寄稿 赤波江 豊 神父)

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