2月16日 年間第6主日
黙想のヒント

「祝福されよ、主に信頼する人は」(エレミヤ17:7)

 人間の世界は二元的なものから成っています。善と悪、光と闇、誕生と消滅、天と地、祝福と呪い、そして幸いと不幸(ルカ6:20~26)などです。今日のテーマである祝福と呪い、幸いと不幸は私たちの日常生活の中で「豊かさ」と「欠乏」という言葉で表現することができます。しかし聖書の教えは心に関するもの、即ち金銭や物質ではなく、ことごとく心の持ち方なのです。祝福と呪いも、幸いと不幸も私たちの心が決めるのです。

 「自分にないものを嘆くのではなく、今あるものを喜ぶ、それが真の賢者である」(古代ギリシャの哲学者エピクテトス)感謝の心を育むと普段の生活の中で「持っていないもの」ではなく、「今持っているもの」に目を向けるようになり、今自分が受けている恩恵に気づくことができます。人生とは面白いもので、いったん感謝しているものに目を向けると、自分が持っていないものはどうでもよくなるのです。実は、ほとんどの人は望んでいるものを既に持っていることに気づいていないのです。それは愛であり、自由であり、人との絆などです。

 心の持ち方は二つに大別されます。即ち「豊かさの意識」と「欠乏の意識」です。今持っているものを喜ぶ豊かさの意識を育めば、そこには無限の成長の可能性を見出すことができます。反対に、今ないものを嘆く欠乏意識はネガティブ思考に根差しており、何をしても十分に手に入らず、結局不平不満のアリ地獄に陥ってしまいます。欠乏意識につながる最大の要因は、実は感謝の心が足りないことにあるのです。

 「生き方には二つしかない。一つはどんなことでも奇跡ではないかのように生きることで、もう一つはどんなことでも奇跡であるかのように生きることだ」(アインシュタイン)即ち、人生は究極的に、自分が受けている多くの恵みを毎日奇跡のように感謝するか、あるいは人生を何の意味もない偶然の連続とみなすか、そのどちらかでしかないのです。その意味で感謝は最高の思考形態と言えます。感謝することによって驚きに満ちた感動が生まれ、そのおかげで幸福感が倍になるからです。ですから喜びがあるから感謝するのではなく、感謝するから喜びがあるのです。

 「ピグレットはようやく悟った。自分にはとても小さな心しかないけれど、感謝の気持ちをいっぱい持つことができる、と」(くまのプーさんより)『くまのプーさん』は子どもだけではなく、大人にも非常に人気があります。その理由は、そこには生きるための素晴らしい知恵と愛が作品の中で見事に表現されているからです。それが「感謝の気持ち」なのです。

      (寄稿 赤波江 豊 神父)

今日の福音朗読

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