7月27日年間第17主日
黙想のヒント

「求めなさい。そうすれば、与えられる」(ルカ11:9)

 求めたら、誰が与えてくれるのか。探せば、どこで見つけることができるのか。門をたたけば、誰が開けてくれるのか。この問いかけに対する答えはすべて自分の内にあります。「富も幸福も徳も調和も光も、才能も愛も英知も、そのすべてはあなたの中に存在しているのである。それらは決して外に求めるべきではないし、お金を出して買うべきものでもない。他人から奪い取るものでもないし、競争し、闘って勝ち取るべきものでもないのである。“無い”という想いを“在る”という想いに切り替えるだけで、すべてがうまくゆく。すべては自分の中に内在していることに気づきさえすればよいのである」(西園寺昌美著『真理-苦悩の終焉』)

 遺伝子工学者の村上和雄氏によると、遺伝子にはオン・オフ可能なスイッチがあり、オンにすると力が発揮できる。実は、遺伝子には天才凡人の差はほとんどなく、誰の遺伝子も普段はオフになっている。そのため多くの人が潜在能力を発揮できないままでいる。優れた遺伝子の有無よりも、そのスイッチがオンになっているか、オフのままでいるかの方がよほど問題なのだ。そのスイッチをオンにするには前向きな姿勢、チャレンジ、そして感謝の心です。

 求めたら、与えられる。探せば、見つかる。門をたたけば、開かれる。しかしそれらは何ごとも感謝の心をもって受け入れる準備ができている場合に限られます。感謝の心をはぐくめば、一人一人に対する尊敬が念がわき、人生の輪を広げることができます。感謝の心は満足感を創造し続けるので、普通の食事がごちそうになり、平凡な家庭が愛に満ちた家庭になり、見知らぬ人が親友になります。また感謝の心は普段の生活の中で「持っていないもの」ではなく、「持っているもの」に意識を向けるようになり、今自分が受けている恩恵に気づくことができるようになります。人間とは面白いもので、いったん感謝しているものに目を向けると、自分が持っていないものはどうでもいい気持になります。喜びがあるから感謝するのではなく、感謝するから喜びがあるのです。

 モンゴメリの作品に『赤毛のアン』があります。独身のマリラとその兄マシューは、孤児院から男の子を養子として迎えることを決めます。ところが約束の日、手違いから駅に降り立ったのは、アン・シャーリーという赤毛の女の子でした。マリラはアンを送り返そうとしますが、明るくおしゃべりなアンに心を動かされ彼女を引き取ります。運命のいたずらでアンは自分の身の振り方が決められますが、馬車の中で「あたし、楽しもうとかたく決心しさえすれば、いつだって楽しめる性格なのです」と語ります。アンはその後毎日の小さな暮らしの中の、小さな喜びを大切にする女の子として成長していきます。私たちも人生の中で、運命に振り回されることがあったとしても、アンのように自分が置かれた場で、いつも人生を楽しむ決意をしましょう。  

      (寄稿 赤波江 豊 神父)

今日の福音朗読

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