住吉教会担当の赤波江神父です
危機―未来への展望の時―
2年前の秋から始まった100年に一度と言われる経済危機は少しずつ回復に向かっているような面もありますが、依然として多くの困難をはらんでいます。しかし歴史的に見ても言えることですが、危機的な時代というのは、また未来への展望が開かれるときでもあります。
このような時期に危機を乗り越えようとして多くの発見、発明がなされてきました。経済産業界においてもリスクはチャンスとも言われます。不況で倒産しかかった会社がそれまでになかった新しい発想で新商品などを開発し、再び生き返ったという話は時々耳にします。
それは信仰の世界においても言えることです。信仰の危機に直面してこそ、それを乗り越える恵みの世界を経験するからです。歴史的に見ても,例えば宗教改革など教会が危機に直面した時こそが、ロヨラのイグナチオらによるカトリック教会の刷新が始まった時、新しい信仰の世界を生み出す恵みの時でもあったわけです。
大阪教区においても、また日本の教会においてもそうですが、教会はいつの時代も大なり小なりなんらかの困難、危機に直面しています。しかもそれらは避けることの出来ない場合が多い。しかしキリスト教は困難、危機から逃げることを教えません。そうではなく困難、危機を恵みへと変えることを教えます。絶望を希望へと、憎しみを愛へと、そうして一人一人が抱いている困難をことごとく希望へと変貌させることを教えます。
キリストの教えはいつも変革、創造、再生です。そういう意味でキリストを信じる者にとって悲観的な材料は何もない。一見して困難と見えることの中にも信仰の芽生えはいつもあります。そのような信仰の芽生えをいつも大切にはぐくみ育て続けるならば、いつでもいい教会が生まれるでしょう。